当工房で製作されるギタ−は今のトコロ”Curion”というオリジナルギターのみです。基本的に修理がメインの工房なので、製作は時間の取れる時だけ。必然、製作予定も何もその時になってみないと判りません。なんともアバウトな製作体制ですが、優先順位というものが有る故、これも致し方ありません。 僕もギター小僧の端くれでしたが、どちらかというと弾くよりもイジリ倒す口だったので、こういうプレイヤー思考のイメージは時にハッとさせられます。”細かい事はともかく理想を言うとこんな感じ” みたいな。漠然としているようで実は趣旨が明確というこのひと言。これがスタートでした。
そして実際に出来上がってみると、方向性を明確に持って挑むとこんなにもハッキリと結果に反映させられるのかを改めて思い知らされたギターとなりました。 それでは解説していきましょう。 |
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1. 部材の選出 |
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今回、最も重要なリクエストは ”軽いタッチでもちゃんと反応する事” だったので、どういう構造でそれをクリアしようか考えた末、まず速い立ち上がりで音を鳴らしてしまう作戦で行く事に。 そう、まずは鳴らしてしまう事が第一。音の太さやサスティーンについては次のステップで検討するとして、では速い立ち上がりにはどういう要素が必要か?。これは経験から言えば、軽い、硬い等など、音質的には明るく高音域にピークがくる素材が望ましい。つまり耳に届きやすい波長とか周波数というのがありまして、大雑把に言うと柔らかい音よりも鋭い音の方がレスポンスが速く聴こえるという事ね。 |
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まず左の画像をみていただきたい。キレイな木目のAAクラスのライトウエイトアッシュだが、なんと1ピース...ではなくて3ピースなのである。 実は"Curion"ではセンター部分にピースの継ぎ目が来ないように、わざわざAAクラスの3ピースを特注しているのだ。 右が木口部分の画像だが、中央のピースは木表と木裏を逆にしてもらった。そう、これは元々1枚板だったのだ。 |
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なんでせっかくの1枚板をわざわざ3ピースにするのか?。これは反り対策ですね。
木口の画像を見ていただくと、元々35〜40mm厚くらいだったんじゃないかな。それを5mmと25mmに製材してもらったのが判ると思う。木目がかなり近いので、おそらく分割した際の損失部分は結構少なめ。 |
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2.ボディー部の特徴 |
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1号器同様、ノイズ対策は導電塗料によるシールド処理を徹底的に。塗装前の生地の段階で塗ってしまう。塗装後にシールディングでもいいんだけど、万一端子が触れてしまうとトラブルの元なので、塗り込める場合はそうしておりまする。まあ、ストラトはあまり心配ないけど、習慣のようなもの?。 |
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ヒールカットは前回よりも大きく取りました。1号器のレポートでは ”削り取りゃいいってもんでもない” と、のたまってますが今回は削り取るよ〜。欲しい結果が違う訳ですから。 |
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3.ハードウェア |
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今回はハードウエアにも注目。僕自身も"Curion"の設計時から導入したいと思っていた10.5mmピッチのトレモロユニットが、ようやくGOTOHさんから発売になったのだ。 |
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そして、日本製のロックペグとして長い間多くのギターに搭載されてきた”マグナムロック”。今回はそのニューバージョン、フィンガーロックタイプ(スパーゼルとかと同じ方式)の"MG-T"を採用した。特筆すべきはペグポストの高さが3種類から選べる事。通常は1〜3弦用18.5mmと4〜6弦用20mmの2種類なんだけど、発注時にオプションでEX-LONG 21.5mmを6弦用にしてもらった。ナットに掛かる負荷が軽減されてオクターブチューニングの精度が上がる。 |
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次のページではネック部分の詳細を.... |
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